■読後感想
『老人と宇宙(そら)』 ハヤカワ文庫
著:ジョン・スコルジー
訳:内田昌之
あらすじ:
ヘミングウェイの「老人と海」のパロディの様なタイトルだが、スペースカジキマグロも、スペースアオザメも出てこない。
そもそも、老人は漁師ではなく軍人、しかも新兵だ。
75歳の誕生日に宇宙軍に志願したペリーは、宇宙船内で1000人を越える同い年の老人達と乱交パーティをしたり、宇宙人の頭を吹き飛ばしたり、ハンバーガーに舌鼓をうったり、6歳の女の子を「お前は『俺の嫁』」と口説き落としたりするうちにあれよあれよと言う間に2等兵から大尉にまで大出世。
植木等の映画、無責任シリーズも真っ青だ。
「見ろよ青い宇宙(そら)、白い雲。そのうち何とかなぁるだろぉぉ〜♪」
感想:
元々、作者が自分のブログで公開していた作品をまとめた物との事なので、広義のブログ本だ。
つまりは、「鬼嫁日記」や「ネコ裁判」、「麻婆豆腐は飲み物です」と同ジャンル……いやいや、かなりしっかりしたミリタリーSFでした。
著者が後書きで述べるまでもなく、「宇宙の戦士」に多大な影響を受けており、「戦争」に関しての表現が泥臭く血生臭く力強く続きます。
この辺り、文化が違うとでも言いましょうか、日本人作家では掛けない所です。
75歳になると、「10年の兵役」と「今までの人生で築いてきたもの全てとの決別(法的に死亡したことになり、2度と地球には戻れない)」の引き換えに、超科学による特別処置によって若くて健康な状態になれるのですが、もし自分が75歳になったとき、このような選択肢があったとしたらどうするだろうと考えてしまいました。
私が引っかかったのは「今までの人生で築いてきたもの全てとの決別」です。
75歳とは言え、それなりに健康な老人が、(愛妻に先立たれているとはいえ)、子供や孫、その他の思い出全てを捨てて、どんな地獄が待っているか判らない様な世界に身を投じるものでしょうか?
と、ここまで書いて気がついた。
アメリカの平均寿命は男性 73歳。日本は78歳。
健康だが平均寿命をすでに超えている、健康で平均寿命を超えていない。
精神的にこの差は大きい……。日本人としては、75→80歳と読み換えると主人公が全てを捨てる事に迷いが無かった理由が理解できるような気がします。
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